経済知識

【いまさら】財政政策と金融政策の違いとは

財政政策と金融政策とは?

今回は少しだけ踏み込んだお話をしたいと思います。
安心してください、簡単ですよ!(とにかく元気なアラニシ)
タイトルにもある通り、今回のテーマは「財政政策」と「金融政策」についてです。

大まかに言うと財政/金融政策とは「政府および日銀(日銀は政府の身内です)が実行する経済に関する作戦の種類」です。

三井住友DSアセットマネジメントHPにある”分かりやすい用語集”を引用すると、財政政策とは「政府が、歳入や歳出を通じて、経済に影響を及ぼす政策のこと」です。

一方、金融政策とは「中央銀行が、モノやサービスなどの価格の安定と信用秩序の維持のために行う経済政策のこと」です。

財政政策と金融政策で主語が違うことに注意です。
例えば、補助金や増/減税は政府が主体となって行う財政政策で、発行貨幣の調節を通じて金利を変動させる金融政策は中央銀行が行います。

市場は流れるプールのようなもの

もう少しわかりやすくするために流れるプールをイメージしてみます。

流れるプールにいる人々は水の中を泳ぐなり浮かぶなりして進むことを目的にしています。これを経済で言うところのお金を稼ぎたい市場参加者となります。

流れるプールで泳ぐには「十分な水位」と「泳ぐスキル」が必要です。

水位はお金の量、スキルは稼ぐ力と言い換えられます。

もし、人々が泳ぐのに必要な水位がなければ、どんなに泳ぎが得意な人であっても前に進むことはできません。また、水が十分量流れていても浮かぶスキルを身に付けていなければ溺れてしまいます。

泳げない人には浮き輪や泳げる人からの指導が必要になるでしょう。しかし、そもそも水位が十分なければ誰も泳げません。

これを市場に言い直すと、お金の量が十分でなければ何も始まらないということです。お金があればもっと消費を増やすのに・・・という状態を需要不足と言います。まずはお金の量がその経済市場にとって適切な量なのかを確認する必要があるのです。

巷でよく見る議論

よく、ワイドショーで個別の財政政策の是非や優劣を議論するところを目にします。国民全への補助金は貯蓄に回るだけ、それよりも子育て支援を!みたいな。それよりもまずすべき議論があると思います。

プールで泳げない人が多く発生している原因が、「水不足」という環境的な問題なのか「スキル不足」という個人の問題なのかを見極めた上で効果的な対策を取らないと、どんなに議論を重ねた対策も無駄足になってしまいます。

前に進まない理由が水不足であるのに、水さえあれば泳げるような人に向かってスイミングのコーチングをしても意味がありませんね。

まずするべきはお金不足の解消

デフレ、つまりお金が足りていないときにはまずお金の量を増やすべきです。

ちなみに2024年5月現在のコアコアCPI(エネルギーおよび生鮮品を除いたCPI)は3%程度です。

政府は、物価は毎年2%くらいずつ上昇していくことが望ましいとしているので物価成長率が3%前後で推移している現状は合格点と言えます。

あとはこれが安定的に持続するような環境を整備することが重要です。

話を戻すと、景気を活性化するために初めに着目すべき点は市場にお金が十分量供給されているのかどうかです。

お金の量が増加すると貨幣の価値は下がり、相対的にモノの価値が上がる、つまりインフレ傾向となります。

この状況が続き、市場参加者が物価は上がり続けると予想(経済学的には期待)すると、年々価値が下がるお金をなるべく多くモノに変えるトレンドが生まれて経済が少しずつ動き始めます(本来はもう少し複雑な話ですが、話を簡潔にするため端を折ります)。

物価を適切な成長率で安定させる、ここまでが金融政策の役目です。

金融政策行ったうえでの財政政策が重要

ここまで来てようやく財政政策の出番です。お金の量を増やすだけでは需要が十分に喚起されないケースもあります。

そんな時には政府が補助金を出したり、減税をしたり、民間部門から商品を購入するといった財政政策を行うことで需要を作り出します。

ところで、金融政策は影響範囲が広いですが、一方で財政政策は資金が投じられた領域にしか影響がありません。

一方で、財政政策はある意味で特定の業界・団体に対してピンポイントで支援ができてしまうので、私たち国民は政府が特定の団体に恩を売るために財政政策を悪用していないか注意深く監視する義務があるでしょう。

政策は優先順位を正しくつける!

ここまで財政政策と金融政策の検討プロセスについて説明してきました。私たちは様々な政策議論をメディアで見ることができますが、果たして議論が正しい優先順位で行われているのかしっかりと監視しておく必要があるでしょう。

これは財政に限りません。政治資金問題に付きっきりになった挙句、ガソリンのトリガー条項解除の議論がおざなりになってしまったことは残念でなりません。

わたしたち国民が賢くなることは政治家を正しい方向へ導く原動力になります。他人事と思わず政治に関心を持ち、みんなで世の中を良くしていきましょう!

更新日 2024/5/27

ABOUT ME
aranishi
大手自動車メーカーから転職し、今は切り花の輸入商社ではたらく20代サラリーマンです。本当にやりたいことが経済学と気づき、日々政治経済に関する発信をしています!