財政規律派とは?
5月24日、自民党の財政規律派が率いる財政健全化推進本部が提案した素案が判明しました。と言ってもいつも通りの内容ですが。
ニュースでは財政規律派といきなり登場しますが、そもそも財政規律派とは何でしょうか?これは財政政策におけるスタンスの1つで、反対側には積極財政派と呼ばれる立場の方々がいます。
今回はこの財政規律派と積極財政派の主張内容を解説していきます。さらには望ましい政策の方針についても私見を述べたいと思います。
これを理解できると財政に関する知識がぐっと深まりますので、ぜひ最後までご一読ください。
財政規律派は緊縮財政推し
まず財政規律派についてですが、彼らは基本的に緊縮財政を好みます。歳入が少なく歳出が多い財政赤字と呼ばれる状況下ではその赤字分を国債発行による資金調達ではなく、国民に対する増税によって賄うことを是とします。
なぜかというと、彼らは公債残高対GDP比を最も重要視するからです。
財政規律派は借金の量 vs 稼ぐ力で評価する
これはどういった指標かと言うと、抱えている借金(公債)と国全体の稼ぐ力(GDP)のバランスのことです。現在の日本はGDPに対して諸外国に比べて非常に大きい公債を抱えています。
この状態で財政赤字ですと、「いつまで経っても借金を返し終えることができない」ため、これを解消するには借金を増やさず歳入を増やせる増税しかない!というロジックになるわけです。
お金がないから借金はこれ以上増やせないと言われてしまうと、確かに増税やむなしと感じてしまうかもしれませんね。
なぜ彼らはこのような主張をするのでしょうか?
財政規律派は国債の信認を重視している
それは、彼らが借金が多すぎると国債の信認を損なうからだと考えているためです。どういうことでしょうか?
それは「日本は借金を返してくれないのではないか?」とお金を貸そうとしている人々から思われてしまうと、だれもお金を貸してくれなくなるかもしれないと危惧しているのです。
確かに実際そうなったら日本経済は大変なことになります。しかし、この信認が下がる際にはあるシグナルが灯ります。そしてそのシグナルは現状確認できていません。
そのシグナルとは金利です。
財政を拡大しても日本は低金利のままだった
国債の信認が低下すると金利が上がります。「日本政府の国債はリスクが大きいからもっと高い金利を払ってくれないと貸せないよ」ということです。
ご存じの通り、日本は長年に渡って超低金利状態が継続しています。これは金利が安くてもお金を貸したいと思う人がいるということです。
コロナ対策で国債を乱発しても金利は上がりませんでした。これはやろうと思えばまだまだ国債を発行できる証拠です。
論より証拠、いわゆる有識者の意見よりも市場の評価をより参考にするのは至極当然でしょう。
すなわち、当面は財政規律を正す必要がないということです。
目指すべきは雇用の改善
ここまで、今は財政規律を正す必要がない理由を解説してきました。ここからはそもそも財政規律派の目指しているゴールが誤っているということについて考えていきます。
ここまでの説明で分かったように、財政規律派は歳出と歳入のバランスや債務の大きさを適切な比率や大きさにすることが目的です。
しかし、本来財政とは国民の暮らしを豊かにするためにあるものです。財政規律という身内のお財布事情は二の次でよいでしょう。それでは、経済的に国民の暮らしの豊かさを最も象徴するものは何でしょうか?それはすなわち、雇用です。
この雇用の改善を最終目標としているのがリフレ派です。積極財政派の多くが支持しているのがリフレ派と呼ばれる学派です。本ブログでは一貫してリフレ派の主張を支持しています。別の記事で詳しく解説しているので、良ければ読んでみてください。
目指す山が違うから手段も異なる
財政規律派が自分のお財布事情を気にしていて、積極財政派は雇用の改善に重点を置いています。この向かっている目標の違いが、2つの派閥の間で用いる政策も違ってくる原因です。
財政規律派の目標が達成されたときに私たちの暮らしが改善されているかは分かりませんが、リフレ派の筋書き通りに事が運べば、雇用が改善します。なぜならばリフレ派の目的が雇用の改善そのものだからです。
更新日: 2024/6/25