経済知識

リフレ派とは

リフレ派とは

今回は経済学をある程度勉強していくといずれかは耳にする言葉である「リフレ派」について解説したいと思います。

リフレ派とは緩慢なインフレを持続させることで安定した経済成長が実現すると主張する人々のことです。

マクロ経済を理解するうえで、あるいは現代の経済を語るうえでリフレ派の主張は非常に重要です。

多くの国の政府でリフレ政策は採用されており、直近ではコロナによる不況をリフレ派の考えに基づいた政策を実行し、景気の落ち込みを最小限にすることに成功しています。

リフレ派の主張を理解することで現代の経済政策がどのような根拠に基づき行われているのかを理解できるでしょう。

ようこそリフレ派の世界へ

これから書いていく内容はリフレ派とは何かを端的にご理解いただくために端を折りまくっていますので、これだけを読んでリフレ派のすべてを説明しきることはできません。

しかし、もしこの記事が面白いと感じていただけたらぜひリフレ派について本格的な解説がなされた著書は数多く存在するので、ぜひ手に取ってみてくださいね。

リフレは通貨再膨張という意味

まずはリフレとはどういう意味なのかというところですが、リフレーション(Reflation)という単語から来ており、日本語では通貨再膨張と訳されます。

デフレから脱したがいまだ本格的なインフレではない状態のことを指します。個人的に、この言葉には「とにかくデフレはだめよ」というメッセージ性を感じます。あるいは過度なインフレも歓迎していないことも読み取れます。

日本はデフレだったから経済成長できなかった

リフレ派は少しずつ物価が上昇することを是としますが、我々庶民には直感的ではないかもしれません。市場に出回っている商品は安ければ安いほどいいですから。しかし経済を大きな視点で見るときには少しずつ物価が下がるデフレが与える経済全体への影響は非常に深刻です。

日本は「失われた30年」の間、GDPは500兆円台のままですし、先進所各国(例えばG7)が賃金を上げ続けている間、日本だけ一向に上がっていません。わたしも日本が賃上げムードになっているのを見るのは生まれて初めてです。

リフレ派世界の常識

日本ではリフレ派は(なぜか)少ないのですが、日本以外の先進国の多くはリフレ政策を採用しており、いわば世界の常識です。どの国の政府も中央銀行も「デフレには絶対にしない」という強い意志が彼らの政策から感じ取れます。

皮肉なことにも彼らは日本がデフレに陥った惨状を見て、それを反面教師にしているのです。

インフレは金利を低くする

リフレ派はデフレ期においてはお金の量を増やしインフレ状態に持っていこうとします。なぜそうする必要があるのでしょうか?順を追って解説していきます。

まず政府および中央銀行が万事を尽くしデフレから脱却してインフレ状態にすることに成功したとします。するとまずは金融市場に変化が起こります。金利が低下するのです。

一方デフレ状態では金利は高くなります。これは過去の歴史を見ても事実であることは明らかですが、デフレというのはお金の価値が上昇しモノの価値が下がることです。金利はお金を貸すことに対するお礼と捉えるならば、お金の価値が上がれば謝礼をより多く必要とすることは当然でしょう。

さて、金利が低いということはお金が借りやすくなるわけなので企業は運転資金や売上増加を狙った投資を行うための資金調達がしやすくなります。

投資増が需要を生み出し好循環へ

企業は安くなった金利でお金を借りて投資がしやすくなります。
この投資には設備投資だけでなく、優秀な人材を雇うための賃金アップや採用の拡大も含まれますから、労働者の収入も増えます。つまり雇用が改善するのです。

雇用が改善すれば多くの国民が収入を得ることになるので、消費が増えます。消費が増えれば企業の売上も増加します。この好循環が続くことで経済全体が成長していくのです。

重要なのは期待

ロジックとしては以上の通りですが、経済の面白いところは人々がインフレになると「予想」するだけで金利は下がります。

これを経済用語で言うと期待と言います。日常で用いる意味とは若干異なる点に注意してください。つまり期待インフレ率が上昇すれば(実質)金利は低下するのです。そして市場がこの安定的なインフレがしばらく持続すると期待すれば経済全体も成長を続けると考えられますから、株式投資も増え株価が上昇することも多くなります。

リフレ派は期待インフレ率を重視する

このように結局はインフレするぞと皆が思えるような状況にすることがもっとも重要でかつ経済成長への第1歩ということになります。

みんなが成長すると思う、なんだか株価の時の話と似てますね。リフレ派は予想インフレ率を高めることを重視します。

政府のコミットメントが大切

ここまで分かれば政府と中央銀行が何をすればいいのかがはっきりしてきます。
つまり、デフレ脱却するためにあらゆる手段を採ると宣言し、それを全力で実行することです。市場に「本気でインフレさせに来たぞ」と思わせるのです。

これを「目標にコミットする」と表現します。リフレ派はこのコミットメントも重要だと指

まともな経済学者や評論家を探そう

世の中(特に日本)には財政均衡、構造改革といった一見正しそうな主張する識者が多いですが、何の因果かこの記事に巡り合った皆様には正しい経済分析をしている専門家の意見をまずは尊重していただきたいと思います。

更新日 2024/6/27

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aranishi
大手自動車メーカーから転職し、今は切り花の輸入商社ではたらく20代サラリーマンです。本当にやりたいことが経済学と気づき、日々政治経済に関する発信をしています!