国の借金が多すぎは嘘?
先日NHKより国の借金が1297兆円余りにのぼり、過去最高額だというニュースが発表されました。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240510/k10014445551000.html
ワイドショーに対する話題提供なのでしょうか、相変わらず定期アナウンスが入るこの「国の借金」報道ですが、正直品質の低い記事だと思っています。
この記事はプライマリーバランス(PB)黒字化を正当化するための根拠の1つとして使われているのかなとすら感じてしまいますね。基本的にPB黒字化という目標は空虚なものであり、それ以上に注力するべきことがあります。
この記事では国の借金というワードに惑わされてはいけない理由について、しっかりと解説していきます。ぜひ最後まで読んで経済リテラシーを高めていってください!
プライマリーバランスとは
まずはプライマリーバランスについてですが、普段なかなか触れることのないワードです。要は政府収入である歳入と支出である歳出のバランスのことです。これを黒字化というと「歳出<歳入」の状態にしましょうねということです。
日本は現在債務は増加し続けているので「歳出>歳入」の状態が続いています。「借金が増え続けていて危ない!」ということなのですが、これは限度を守れば何の問題の無いことだということをこの記事を最後まで読めばご理解いただけると思います。
財政健全性はバランスシートで測る
まず第1に、そもそも日本の財政は危なくありません。日本の資産の多さは先進諸国の中でもとびぬけており、資産と負債のバランスを見ると取り立てて高くないことが分かります。
さらに、その負債の内訳の中の国債については、日本銀行が多く保有しています。日銀は政府にとって連結子会社のような立ち位置なので、同じバランスシートの中で債務と債権が行き来しているだけにすぎません。
これについては私の過去の記事でも紹介しているのでぜひチェックしてみてください。
国債乱発は信認低下を招く?
次にPB黒字化論者の中には「国債を発行しすぎると、その信認が落ちるためよくない」というロジックをお持ちの方がいらっしゃるようです。信認というのはどういうことかというと供給量が多すぎれば国債の信用度が下がり金利が上がるということです。
これはファクトで見れば明らかですが、現状金利はせいぜい1%程度なので暴落の兆候はまるでありません。コロナ期間中政府は毎年100兆円以上の国債を乱発しましたが、金利は上がりませんでした。
おかしいですね?国債を発行すればするほど国債の信認が落ちて金利が上がるはずですがそんなことはありませんでした。
金利が上がったら利払いが大変
最後に今は金利が低いからいいが、金利が上がって利払い負担が増加したら大変なことになる。という主張があります。確かに私たち国民にとっては痛いでしょう。変動金利の住宅ローンなどを組んでいれば金利上昇は大きな負担となります。
しかし国債に関してはそのリスクはかなり軽減されます。なぜかというと、先ほども申したとおり、国債発行高の多くは日銀が保有しています。政府ー日銀間の契約であっても国債満期を迎えたら政府は日銀に対して元金と共に利息を支払います。
しかし、この日銀が受け取る利息は最低限の事務経費以外は国庫納付金として国庫、つまり政府のポケットに入ります。
すなわち、日銀への貸し付けに関して実質的な負担はないのです。これであれば過度なインフレを招かない限りは日銀に対する国債の借り換えリスクは極めて低いと言えます。
財政規律よりも実体経済改善へ注力するべき
以上のように財政規律、PBの黒字化というのはいの一番に達成しなけらばならないほどの目標ではありません。わたしには計り知れない「こだわり」でもあるのでしょうか。
それよりもわたしたち国民の雇用という経済における何よりも重要なことに頭を使ってほしいなと思います。黒字化は達成したけれども国民はジリ貧なんてことになったら泣くに泣けません。
みなさまも「国の借金」という悪意あるタイトルの記事を見つけたら注意深くその信憑性を確かめてみてください。