経済ニュースがわからない!
みなさん、突然ですが経済ニュースって何を言っているのかわかりづらいと感じることはありませんか?
異次元の金融緩和が終わるとか、イールドカーブコントロールの解除などと言われてもよく分かりませんね。経済とはそういった横文字の専門用語を理解できる専門家だけが分かっていればいいのでしょうか?
否、これは経済、つまり「お金」に関することですから全国民の生活に直接影響があるものです。
この記事では経済の知識を深め、私たちがどのような姿勢で経済に関する様々な出来事と向き合っていけばいいのか、そのヒントになることを目的に書きました。少しでも参考になればと思います。
経済を知り、より豊かな生活を。
最近だとマイナス金利解除に関するニュースを目にした方も多いかと思いますが、やれ「イールドカーブコントロール」だ、やれ「ビハインドザカーブ」だと横文字が連なります。たのむから日本語使ってくれ・・・これは誰に訴えればいいのでしょうか。
それはさておき、まったく何の話か分からない状況を脱し、その政策で何をしようとしているのか、それが日本経済にどのような影響を及ぼすのかを理解したい方は多いのではないかなと思います。
今回は私がはじめて違和感を感じた経済ニュースを取り上げ、その矛盾について考えてみたいと思います。私自身、経済の知識を身に着けてからは世の中のニュースをフラットな視点で見ることができるようになり、経済に対する解像度が随分と上がったことを実感しています。
しかし、こと経済に関しては人によって主張が異なり、誰の発言を参考にすればいいのか迷ってしまうのが現実です。
本ブログでは「ニュースを理解する」ことを目的に複雑に見える様々なニュースや知識をわかりやすく紐解いていきます。
その中で私の私見がどうしても混じってしまうのですが、あくまで参考程度にしていただいて、最終的にはみなさま一人ひとりが自分なりの意見を持てるようになれば最高かなと思います。
日本はオワコン?
みなさんはこんな内容のニュースを見たことがありませんか?
「国の借金1200兆円!GDPの2倍!財政破綻の日は近い!!」
さすがにここまで煽って読んでるアナウンサーは見たことありませんが、このようなニュース記事を書いている裏にいる脚本家はこんなテンションなのではないでしょうか。わたしの勝手な妄想ですが。
はじめてこのようなニュースを認識したのはおそらく就職して間もないころだったと記憶しています。まだ日本経済のことはおろか、会社という身近な社会にも馴染みきっていない時期だったので、このニュースも表面的にしかとらえられず、とりあえず「日本がやばいの?」と漠然とした不安を感じたことを覚えています。
会社の同期にも日本はすでに終わっていると嘆いている者もいたので、そうなのかな?とも思いましたが、翌日街中を歩きながらその考えに対してひどく違和感を感じました。
日本の街は平穏そのもの
なぜならば、自分ひとりのことや自分の見える範囲では日本は平和そのものだったからです。
毎日働きに行ける職場があり、犯罪に警戒して街中をびくびくしながら歩く必要もないのです。とにかく身の回りの社会は平穏だったのです。私自身特別給料が高いわけではなく、ごくごく一般的なサラリーマンです。
日本がやばいなら、平均的な暮らしをしている私も例外なくやばいはずです。そんなことから少しずつ経済について調べていくようになりました。
一部メディアでは日本の財政はもう間もなく破綻し、国内の経済状況はガタガタになると煽る一方で、主観的な視点では平穏な日々が続いている。
今日の状態が明日も続くかは分かりませんが、どうしてもニュースの情報と目の前の現実とのギャップに納得できないでいました。そんな違和感を感じながらも、それを理論的に解消することができないもどかしさを感じました。
そんな私も今ではトンデモ理論を展開する記事はひと目でおかしいと思える程度の知識を身に付けました。
冒頭でも記した通り、経済とはわたしたちの生活に大きな影響を及ぼすので1人でも多くの方にこの記事の内容をご理解いただき、「経済リテラシー」を高めていただければと思います。
日本はまもなく財政破綻するのか?
それでは、日本の経済破綻待ったなし説について考えてみましょう。
わたしはこの言説の反対の立場に立つ人間ですが、まずはこの主張の内容について客観的に確認していきたいと思います。
この説の根拠は日本の債務残高の対GDP比率で、それを諸外国と比較したデータに基づきます。
調べてみると、日本の名目GDPは2024年現在600兆円弱で政府の債務残高は1200兆円以上です。
民間の稼ぎであるGDPの倍以上の借金(あえてこう呼ぶ)を抱えており、これは先進諸外国の中で残高も比率も堂々の1位です。
これを財政破綻論者は家計の話に(勝手に)置き換えて「稼ぎの倍以上借金しているからいつか家計が崩壊する、早くこの借金を返さねばならないのダ!!」と息巻いているわけです。
政府の支出である歳出は主にわたしたち国民から徴収する税金と国債などの借入金で構成されています。
これ以上借金を増やすわけにはいかないから税収を増やさなければ日本は破滅する、だから増税はやむをえない!というのが彼らの主張です。
財政と家計を混同してはいけない
個人で言うと給料は増えない、でも借金は増え続けるから支出を抑えるしかなく、例えば食費を削ったり娯楽を減らす、といったところでしょうか。
このような説明をされると経済学の知識がない方々は「それじゃあ増税も仕方ないね・・・」と思ってしまうのも無理はないでしょう。
ですがそれでいいのでしょうか?そもそも、もし仮に収入が十分にあれば、私たちはやりたいことをある程度実行することができます。わたしたちは豊かな生活を送るために日々頑張っているので、できる限り充実した生活を送りたいですよね。
それが簡単にできれば苦労ないわ!と思うかもしれません。確かに、個人の家計で考えるといきなり収入を増やすことも、借金をさらに増やすことも難しいかもしれません。
ですが、ここが家計と政府の大きな違いであり、財政破綻を主張する方の主張の穴になっています。
つまり、政府はある程度の国債を発行することは問題なく、これは負担の次世代への先送りとも違います。加えて、そもそも債務残高とGDPの比率だけを見て財政危機を叫ぶのは無理があるのです。
国債は国民の借金ではない!
それでは国債発行は必ずしも悪ではないこと、財政の見方について解説していきます。
まず債務残高はこれ以上増やせないという主張についての反論ですが、家計の借金と政府の借金の大きな違いは債権者の違いです。
私たちが借金をするときは銀行や消費者金融、つまり他人から借ります。なのでしかるべき時期までに返済をする必要があります。では政府は誰から借金をするのでしょうか?
もちろん、民間部門に国債を買ってもらうこともありますが、中央銀行である日本銀行にも多く国債を購入しています。日銀は紙幣を刷ることができるので、追加で印刷したお金でこの国債を買い取ります。
日本銀行は政府の子会社
ここで重要なポイントは政府と日銀はいわば親会社と子会社のような関係であり、会計上は同一の組織として扱います。同じ財布の中で国債と現金をやり取りしているので、連結のバランスシートで見れば債務は増えていないと言えるのです。
ここまで話すと、日銀は打ち出の小槌のように紙幣を発行できるように聞こえてしまいますね。
しかし、当然そんなことはありません。あまりにも大量の貨幣を発行すればとある弊害が生じます。それが急激な物価上昇です。
急激な物価上昇は市場に与える負のインパクトが大きいのでこれは避ける必要があります。
必要なのはマイルドインフレ
それではどうすればよいのでしょうか?答えはカンタン、緩やかに物価が上昇する「マイルドインフレ」と呼ばれる低インフレ状態が持続するように調節することです。
そうすれば適度な支出と収入のバランスを保ちながらインフレを持続させることができます。第2次安倍政権で掲げていた「インフレターゲット2%の達成」というのはまさにこのことです。
つまり、インフレ率が適正値に保たれれば、政府が国債を日銀に引き受けさせて新たにお金を生み出すことは何ら問題ないということになります。
重要なことは資産と負債のバランス
それに加えて、国債を含む債務残高の適切な大きさについて対GDP比のみを見て評価することがナンセンスであることについても説明します。
対GDP比の諸外国との比較はその規模感を把握するにはいいですが、財政の健全性を測るには不適当です。
それよりも会計の知識を用いて評価することが世界の常識です。つまりバランスシートでの評価、資産と債務のバランスを見るのです。
日本政府の令和4年度の資産合計は723兆円、債務合計は1442兆です。これだけだと資産の2倍ほどの債務を抱えているように見えますが、債務に含まれる国債1065兆円の日銀保有率は約54%の574兆円です。
先ほども述べた通り、これは返さなくともよい借金ですので、この日銀保有分の国債を引くと債務は868兆円です。
資産723兆円に対して債務868兆円、景気が悪くて困っている状況でわざわざ増税してまで債務を減らさないといけない水準とは言えなそうですよね。
それよりも現在の日本は1日でも早くインフレ2%を達成して失われた30年を終わらせる必要があるのです。
このように良識ある専門家はいまは急いで増税する局面ではないと主張します。
適切な財政政策で日本は不景気を脱却できる!
以上のように、日本政府に関しては債務残高が高いことが、必ずしも悪いことではない理由を述べてきました。
この記事が経済に何馴染みのない方にとって今後経済を触れる機会が増えるきっかけになれば重畳極まりないです。
他にもさまざまな経済トピックについて書いていきますので他の記事もぜひのぞいてみてください!
更新日 2024/6/20