なぜインフレターゲットは2%なのか
金融政策に関するニュースの中で「インフレ目標」や「インフレターゲット」といった言葉を目にしたことがある方は多いと思います。今回はこのインフレターゲットについて解説していきます。
インフレターゲットを理解することで、政府・日銀が行う経済政策が正しいものなのかを判断する指標を1つ獲得することができます。ぜひ最後まで読んでください!
さて、アベノミクスにおいて政府はインフレターゲットを2%を目標に金融緩和を実施するとしました。
なぜ2%なのでしょうか?少しインフレしていればよいのであれば1%でもよいと考えるのも自然なことでしょう。
これには失業率とインフレ率に非常に重要な関係があるためです。この2つの関係性を示したものがフィリップス曲線です。詳しく見ていきましょう。
そもそもなぜインフレターゲットを設定するのか
フィリップス曲線の話に入る前に、なぜインフレターゲットを設定するのでしょうか。それは「金融政策の目標は雇用の改善であり、目標達成のためにあらゆる手を尽くします」と市場に宣言することに意味があるのです。
インフレターゲットを設定することで、市場は「日本の物価は上がりそうだ」と予測します。
この情報は投資家にとって日本に投資をするか否かの判断材料の1つにします。政府が経済政策のスタンスを市場に見せることは、投資家に対する判断材料を与えることになるのです。
政府がインフレターゲットを設定することは市場に対して重要なアピールとなるのです。
なぜ2%なのか
さてそれではなぜインフレ率2%を目指すのでしょうか。これには明確な理由があります。その際に失業率とインフレ率の関係性を表したフィリップス曲線が用いられるのです。
フィリップス曲線では失業率をこれ以上加速させないインフレ率を求めることができます。失業率とインフレ率は逆相関の関係にあります。つまりインフレ率を上げれば失業率は下がる、雇用が改善するのです。
しかし、とあるタイミングでインフレ率をどれだけ上げても失業率が下がらなくなるポイントがあります。これをNAIRUといい、インフレターゲットはこのNAIRUになるインフレ率を目指すことが適切だということを言っています。
このNAIRUが日本では2%なのです。
インフレターゲットには根拠がある
したがって政府および日銀はインフレ率が2%に達するまであらゆる手を尽くす必要があります。財政規律のことを気にしている場合ではありません。
インフレターゲットには数学的根拠がある目標です。この指針に沿った経済政策を市場に打ち込むことで、日本の雇用は改善し、世界で躍動することができるでしょう。
更新日 2024/5/28