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【手取り少なっ】物価高騰しているけど賃金は?

物価は上がったけど賃金は・・・?

最近様々な商品の値上げニュースが紙面を躍らせていますね。筆者はバブルが弾けた後に生まれた世代のためコンビニや自販機など身近なものがどんどん高くなっていく感覚に馴染みがなく非常に新鮮な感覚です。

個別の価格だけでなく、様々なモノ・サービスの価格を均した物価も上昇しています。エネルギーおよび生鮮品を除く消費者物価指数の上昇率がプラスに転じたのは2022年5月でした。これはウクライナ戦争が始まった2月のすぐ後です。

リフレ派と呼ばれる経済学者は専門家たちはインフレ率が高まれば最終的には賃金なども上がってゆくと主張しますが、このタイミングではまだ賃金アップの話は出てきていませんでした。春闘で今までにない賃金上昇が騒がれ始めたのは翌年の2023年からです。

賃金は物価に遅れて変化する

それではなぜ賃金は1年ほど遅れて上がったのでしょうか?それには様々な要因がありますが、あえて2つ理由を挙げるならば、企業はこれからも安定的に物価が上昇すると予想しないと支出を増やす決断はできないためタイムラグが生じるということと、原材料の上昇による値上げがいたるところで起こる物価上昇が考えられます。

前者の需要が盛り上がることで物価が上がることを「ディマンドプル型インフレ」、後者の原材料費の高騰を受けて物価が上がることを「コストアップ型インフレ」と言います。

コストアップ型インフレ

コストアップ型インフレは、原材料費の上昇が原因で価格を上げざるを得なくなることです。

ロシアによるウクライナ侵略がはじまると原油価格は高騰しました。これを受けて日本は各種エネルギー料金が値上がりしましたね。

ここで起きた値上げは需要が増えたからではなく仕入れ価格が増加したからです。つまりこの時の値上げはまず間違いなくコストプッシュ型インフレと言えるでしょう。商品の需要が鷹股わけではないので、ガソリンスタンドのバイト時給も電力会社の職員給与も上げられません。

ディマンドプル型インフレ

一方でその商品に対する需要が高まることで品不足になり値上げを行った場合はディマンドプル型インフレとなります。原材料費は短期では上がらず利益が増えます。

経営者は利益と人件費などの費用の割合を決めることができます。もし人手不足になれば労働力確保のために賃金を上げるでしょう。このようにして需要に引っ張られて値上げする場合には賃金が上がる可能性が高いのです。

最終目的は雇用の改善

ここまでコストプッシュとディマンドプル型インフレの解説をいたしましたが、正直言ってこれらを明確に区分すること自体に大きな意味はなく、結局のところ雇用が拡大したり賃金が上がればいいのです。その際の分析に使われますよくらいの認識で構わないかと思います。

では、この2つの概念を理解する意味は奈辺にあるのでしょうか?それは政府の実施する政策が適当なものかどうかを判断する際の重要な要素となる点です。

コストプッシュなら支援を

もし物価上昇がコストプッシュ型であるならば、給料アップなどに転嫁できないため生活は苦しくなる一方です。

このような状況では市場は自力で需要を盛り上げることができないので政府が財政を拡大して需要を底支えすることが重要です。

ガソリン代の補助金もウクライナ戦争によって原油価格が高騰したことを受けて始まりました。

コストプッシュ型インフレには政府による対策が必要なのです。もし仮に政府が何ら対策をしていなかったら、状況を見誤っていると判断することができるのです。

需要を喚起し、最後には雇用の改善

繰り返しになりますが、日本政府および日銀は最終的には雇用の改善を目的に動くべきです。

そのためには強い需要を生み出す必要があります。市場自体にその力がないほど弱っているのであれば、支援が必要です。それが金融政策と財政政策です。

政府が適切な対策をとっているかを注視する義務がわたしたち国民にはありますね。

更新日 2024/5/28

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aranishi
大手自動車メーカーから転職し、今は切り花の輸入商社ではたらく20代サラリーマンです。本当にやりたいことが経済学と気づき、日々政治経済に関する発信をしています!